ノルマ、売り手も悲鳴「手数料に血眼」 金融商品販売

 消費者の立場で金融商品やサービスをチェックしてみよう——そんな視点から「くらしとマネー取材班」は、銀行が販売するデリバティブ商品や投資信託など買い手が損をする恐れがあるリスク商品、クレジット会社による過剰与信、商品先物取引といった問題について報道してきました。多くの消費者から投書をいただきましたが、「売り手」側からも内部告発や悩みの声が寄せられました。一部を紹介します。

 郵便局が投資信託の販売を開始してから1年たった今年10月、「郵便局ごとに投信の販売目標が割り振られたため、勧誘の行きすぎなどで苦情が増えている」と報じた。郵便局を統括する日本郵政公社は「目標であり、ノルマではない」と説明していたが、この見解に対して複数の郵便局員から反論の投書が届いた。

 長野県の30代男性は、こう記す。「毎朝ミーティングで『数字ができない職員は辞めろ』と言われる。これはノルマではないのでしょうか?」。同封された郵政公社の信越支社が作成した内部文書には「獲(と)るぞ! 全国トップ!」との見出しが躍っていた。

 兵庫県の40代男性も「(売り上げが少ないと上司が)怒鳴り散らす、他課への強制配置転換、査定での基本給削減——これでも目標ですか?」と訴える。

 栃木県内で簡易保険の営業を担当する局員からの投書は悲痛だった。

 「(契約を)取れ取れとノイローゼになるくらい上司から言われ、無理な営業をしています」「(JR西日本の脱線事故で問題になった)『日勤教育』みたいな研修を大声張り上げてやっています。涙を流しながらやっている人もいます」

朝日新聞 - 2006年12月30日