個人年金など老後の備え初の全国調査へ 団塊退職で厚労省

 個人年金保険で今年から団塊世代の大量退職が始まったことを受け、厚生労働省は二十九日までに、約一万五千世帯の二十―六十九歳を対象に、老後資金としてどの程度の貯蓄をしているかや、親子三世代の経済的な支え合いの実情など、「個人の高齢化社会への備え」に関する初の全国調査に乗り出すことを決めた。

 国民自身が描いている老後設計の実態を把握することにより、団塊の大量退職による社会保障制度への影響の度合いなどを探る狙い。調査結果は重要なデータとして同省の各種施策に活用される。少子高齢化の加速で医療や年金などへの不安が広がっていることから、同省は「調査の結果、国民の準備が不十分と判明すれば、政府が新たな対応を迫られる可能性もある」としている。

 調査を担当するのは同省付属の国立社会保障・人口問題研究所で、七月に実施する。全国から抽出した三百地区の約一万五千世帯が対象。二十―六十九歳の世帯員すべてに回答を求め、約一年かけて分析した結果を二○○八年度に公表する。

 家族構成や職歴、最近の就業状況をはじめ、公的年金個人年金の加入状況、貯蓄額などを調査。特に貯蓄については老後の生活に備えて何歳から始めたかなどを詳しく聞き、五年前と比べた総額の増減や「毎月」「ときどき」といった頻度も調べる。

 さらに定年退職後の主な生活費の財源について、年金や貯蓄、親族の支援などから選んでもらう。最近一年間に両親に経済援助をしたかどうか、逆に援助を受けたかどうかやその金額も。また子供との間での援助の有無と金額などを含め、親子三世代間での経済援助の実態もできるだけ詳細に回答を求める。



中国新聞 - 2007/4/30